植物発酵物(FBP)を継続して摂取したとき、口の中にはどのような変化が見られるのでしょうか。この記事では、健康な成人9名がFBPを12週間摂取し、その前後で歯ぐきの状態や唾液、口の中の細菌などの変化を調べた研究を紹介します。
※本研究で使用した植物発酵物(FBP)は、果物や野菜、穀類、海藻などのさまざまな原料を3年以上発酵・熟成させてつくられた発酵食品です。
研究結果を簡単にまとめると
健康な成人9名が植物発酵物(FBP)を12週間摂取したところ、歯周ポケットの平均の深さは2.7mmから2.4mmへ低下し、統計的に明確な差が確認されました。
歯ぐきからの出血率や、唾液・血液の一部の指標も低くなりましたが、明確な差とはいえませんでした。また、口の中の細菌全体にも明確な差は見られませんでした。
ここからは、研究の背景や実験の内容をもう少し詳しく紹介します。詳しく知りたい方は、ぜひ続きをご覧ください。
なぜこの研究を行ったのか
これまでの動物研究では、植物発酵物(FBP)を摂取したときに、体脂肪や免疫など、体のさまざまな指標に変化が見られることが報告されていました。
また、口の中の状態は、全身の状態とも関係することが報告されていることから、FBPを人が継続して摂取したとき、口の中にどのような変化が見られるのかを調べました。
どのように調べたのか
健康な成人9名に植物発酵物(FBP)を12週間摂取してもらい、摂取前と12週間後で、歯ぐきの状態や唾液、血液、口の中の細菌などを比べました。
| 項目 | 主な内容 |
|---|---|
| 対象 | 健康な成人9名(男性1名、女性8名、平均年齢51.5歳) |
| 摂取方法 | FBP 2.5gを含む試験食を1回分として、朝食後と夕食後の1日2回摂取 |
| 期間 | 12週間 |
| 調べたこと | 歯周ポケットの深さ、歯ぐきからの出血、唾液・血液の一部の指標、口の中の細菌 |
研究結果を詳しく見る
歯周ポケットの平均の深さが2.7mmから2.4mmになった
12週間後、歯周ポケットの平均の深さは、摂取前の2.7mmから2.4mmへ低下しました。この変化は、論文で定めた統計基準でも明確な差と判断されました。
歯周ポケットは、歯と歯ぐきの間にあるすき間で、歯ぐきの状態を確認するために使われる指標の一つです。今回の研究では、歯周ポケットの深さに明確な変化が見られました。
歯ぐきからの出血率は9.5%から5.0%へ低下したが、明確な差ではなかった
歯周ポケットを測る際には、歯ぐきから出血した部位の割合も確認しました。その割合は、摂取前の9.5%から12週間後には5.0%へ低下しました。
ただし、この変化は論文で定めた統計基準では、明確な差とは判断されませんでした。そのため、歯周ポケットの深さとは異なり、出血率については数値として低下が見られた結果として捉える必要があります。
唾液・血液の一部の指標も低下したが、明確な差ではなかった
研究では、歯ぐきの状態に加えて、唾液や血液中の一部の指標も調べられました。唾液中のLDHは170U/Lから146U/Lへ、血液中のALPは117U/Lから77U/Lへ低下しました。
ただし、どちらの変化も論文で定めた統計基準では、明確な差とは判断されませんでした。そのため、これらは数値として低下が見られた結果として捉える必要があります。
一部の細菌には変化が見られたが、全体の構成に大きな変化はなかった
唾液から口の中の細菌を調べたところ、一部の細菌では割合に変化が見られました。ただし、口の中の細菌全体の構成には、明確な差は確認されていません。
また、歯周病との関係が知られている代表的な細菌群にも、明確な差は確認されませんでした。そのため、今回見られた歯周ポケットの変化を、口の中の細菌全体の変化だけで説明することはできません。
この研究から考えられること
今回の研究では、歯周ポケットの平均の深さに明確な変化が見られた一方で、口の中の細菌全体の構成に明確な差は確認されませんでした。このことから、歯周ポケットの変化を、口の中の細菌への直接的な影響だけで説明することはできません。
論文では、FBPを摂取した後に、体内を介して口の中に何らかの影響が及んだ可能性についても考察されています。
今後は、腸や各臓器への作用などをさらに詳しく調べ、FBPが体内でどのように作用するのか、その仕組みを明らかにしていく必要があるとされています。
論文情報
論文タイトル:植物発酵物(FBP)摂食による口腔内環境の改善効果
著者:岩崎 嘉代、永山 正人、市川 徹、秦 光潤、齋藤 道雄
掲載誌:日本歯科東洋医学会誌 第41巻 第1・2号、8–12頁
発表年:2022年
※本記事は、上記学術論文の知見をもとに、学術情報の紹介・普及を目的として当社が独自に日本語で要約・解説したものです。原著論文の著作権は、著者および日本歯科東洋医学会に帰属します。

